真の省エネ実現を目指して
統合研究院ソリューション研究機構 特任准教授
地球温暖化を回避し、持続可能な社会を実現する。21世紀の科学技術に求められる最大の課題の一つだ。統合研究院のプロジェクトでは、省エネ技術と再生可能エネルギーの導入によって、コミュニティーレベルでの化石燃料消費を大幅に削減する「先進的エネルギー・マネジメント(AEM)」の実現と普及を目指している。
「京都議定書の目標達成期限が迫るなか、どうしたら日本の二酸化炭素排出量を減少に転じられるのか。燃料電池など新技術も生み出されていますが、同時に、これらの技術を社会全体に効果的に導入していくための科学的かつ具体的な道筋を示すことが不可欠といえます」という小田拓也特任准教授は、九州大学大学院で熱エネルギーシステム工学を専攻、卒業後は日立造船で分散型発電およびコージェネレーション(cogeneration)システムの開発に携わってきた。
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日立造船ではさまざまな工場や施設に新しいエネルギーシステムを提案してきたが、小田准教授がその現場で感じたのは一つの疑問だった。「一言でいえば、真の省エネの実現は想像以上に難しいということ。地球温暖化防止は、企業や施設などの個別対応では限界があると考えるようになってきました」。
その疑問に対する解答(ソリューション)を探すため、小田准教授が選択したのは社会人として東京農工大学大学院博士課程への進学。そこでコージェネレーションのシステム評価を主な研究テーマとした。
「コージェネレーションによる省エネ効果を十分に発揮するためには、時々刻々と変化する電力や熱のバランスに合わせる必要があります」と小田准教授。しかも、その比率は1日24時間、さらに季節ごとに変化する。小田准教授は、社会全体で省エネルギーを図るためには、系統電源とコージェネレーションをその特徴に合わせてうまく使い分けることが重要だと考えた。
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そこで、日本全体の電力と熱の需要家を、工場から一般家庭など十数のタイプに分類し、それぞれの電気および熱の使われ方を将来にわたって予測した。さらに線形計画法を用いてエネルギーシステムの最適構成を導き出したという。「その結果、系統電源やコージェネレーション、ヒートポンプなどを適切に組み合わせることで、経済的負担を最小限にしながら省エネルギー効果を最大にできる」(小田)という結論を得た。
大学院を卒業してしばらくの後、AEMプロジェクトのリーダーを務める柏木孝夫教授の勧めもあって統合研究院への参加を決めた。「真の省エネを実現するためには、企業や地域や国といったような、さまざまな主体の連携が欠かせないことを実感していました。大学は、そういった主体が協調する核として、技術的な解決策を提案できると考えたのです」(小田)。
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小田准教授が取り組むテーマの一つは、先進技術に立脚した最適システムのあり方を示すことだ。しかも、プロジェクトでは、東工大大岡山キャンパスのなかで実証することも検討している。「需要地に各種分散型システム群を形成することで、徐々に合理性に富んだ新ネットワークシステムへ変革させることができます。多様性に富むキャンパスは理想的な実験場です」と。すでに年間のエネルギー需要を分析、線形計画法による最適化モデルも作り上げた。
「新ネットワークシステム群では、各種燃料電池、太陽光発電、風力、バイオマス、蓄電、ヒートポンプなどをネットワークでIT制御することにより、電力だけでなく熱や物質(例えば水素)も一緒に供給するコプロダクション的なエネルギー変換・利用が可能となります。エネルギーや物質をエリア内で融通したり貯蔵することによって、新エネルギーの導入と省エネルギー・省資源の極大化を図り、CO2排出を50%削減することも夢ではありません」と小田准教授。小さなキャンパスから生み出されたソリューションが地球全体へと広がる日も、そう遠くないはずだ。
統合研究院ソリューション研究機構 特任准教授
九州大学大学院総合理工学研究科(熱エネルギーシステム工学)修士課程修了後、日立造船入社。次世代のエネルギー供給システムの開発に取り組む。その後、東京農工大学大学院博士課程でコミュニティーレベルでの省エネルギーの実現に取り組む。2007年4月より現職。博士(工学)。
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